2017.06.01 TK from 凛として時雨 presents「error for 0 vol.3」@新木場 STUDIO COAST


syrup16g

僕はもちろんsyrupが観たくて参加したわけですが、その意味では非常に満足でした。音が良かった。中畑さんのドラムも空間ビリビリ震わせるし、久しぶりにハイパーな調子だった。キタダさんのベースも変にブヨブヨしてなかったし、芯がしっかり聴き取れました。あと五十嵐さんの声も良かったですねー。前回のツアーより良かったと思います。やさしさより鋭さ多めな感じでしたが。

前半はメロディメイカーっぷりを見せつける、割とおとなしめの曲を並べてきたので(「I'll be there」、「生きているよりマシさ」、「赤いカラス」、「来週のヒーロー」)、今日はそんなモードなのかなとかボンヤリ思っていた。「I'll be there」とか最後のギター、アレンジ変わってなかったですかね。あと「生きているよりマシさ」もドラムちょっと変えてきてたし(今までやってないパターンではあるまいか)、曲をライブ仕様に変化、深化させ続けている姿勢も目の当たりにできて、やはり来てよかったと実感。メロディで聴かせる曲であっても、3ピースでも、しっかりダイナミックで、そこは相変わらずかっこいいなあと思う。歌詞のすっ飛ばしも目立ったけれど、そこも相変わらず(笑)。

「Share the light」のドスの効いた空間(ベースがイカす。ちょっと変えてたかな?)から一気にハードモードへ転換し、「天才」、「coup d'Etat」~「空をなくす」、「Deathparade」、ラストの「リアル」へとなだれ込む。「coup d'Etat」のネタバレ感も相変わらず甚だしくて、ああくるなあという予定調和の空気が物凄いのですが、この日は恒例のグルグルドロンとした演奏の中で向井秀徳ばりの語りをするのかと思いきや、「シャ~イニン スタ~リン クマ~のリュックと~ ローマ帝国の配下~で 君はまゆげ~をなくした~」って「回送」の一節を唄ってくるからドキリとした。あわや予定調和を破って「回送」が始まるかとドキドキしたけれど、そこは違った。てっきりこれはアドリブかと思っていたのだけれど、中畑さんのインスタグラムを見ると、セットリストらしきものが上げられており、そこには明確に「回送」という文字が見て取れる(さらにはそこから「空をなくす」へつながっているように見える)。ということは予め組み込まれていたということか! どういうチョイスなんだろうなあ。

モチのロン、この日は五十嵐隆氏の誕生日であり、フロアからは隙を狙って、祝いの気持ちを伝えたいファンの声が飛び出す。五十嵐さんは照れ臭そうに逃げるように(とはいっても僕にはステージはほとんど見えていないから、声の調子だけで判断しているのですが)、「ありがとうございます」と繰り返す。「リアル」の前にTKに感謝の念を述べるが、そこで「こんな素敵な日に」と言って、「今日僕誕生日なんですけど」って自分で言ってましたね。ハハハ。で、また「おめでとう」って言われるから、「ありがとうございます」って手短に告げて、「一生懸命歌うんで、最後まで聴いてください」って、切り上げる。

「空をなくす」でまさかのミラーボール回転で、おいおいマッチするのかって思いましたが、違和感なかった。そういや「落堕」のMVもそんな感じでしたかね。

と、大方の意見もそうかもしれないけれど、非常にバンドの調子がよさそうに思えます。個人的には声の抜けが良いってのが、一番うれしいです。会場に依るところもあるのかもしれないけれど、この調子でぜひ次のツアーを拝みたい。


TK from 凛として時雨

どっちかって言ったら好きなんだけどでもファンと言うほどではない、作品も持っていないという具合です(好きの度合いでいえば凛として時雨の方が好き)。知ってる曲はごくわずか。ライブ映像を見たこともなく、インタビューも見たことない。そんなTK from 凛として時雨のライブはキーボードやストリングスを加えた5人編成で、決して多いというわけではないんだけど、先のsyrupと比べるとやはり楽器が多い分、世界観の広がりというやつは感ぜられたかもしれない。しかしギターサウンドとストリングスというのはやはり難しいと思う。何回かそういうライブ観たことありますが、上手く使わないと埋もれちゃいますよね。ってこんなド素人に言われるまでもなくそんなこと考えて演ってるわって話でしょうけれど。観てると聴いてると、やっぱりハッキリしないことが多いんです。

いろんな音楽のエッセンスをぶちこんで、何がしかの感情的な発露を、いわばJ-Rock/J-Popの領域で行っているということで考えると、やっぱりどうしてユニークな音楽性。他にちょっと思いつかない。ウィスパーな歌唱から音波気味のシャウトまで使い分ける、ある種奇妙なボーカルスタイルも、この界隈では似たスタイルを思いつかない。凛として時雨よりも抒情的だったり、空間的広がりが感じられるってのが僕の勝手な判断なんだけれど、ファンの方はどのように音楽性の違いをとらえているのでしょうかね。その辺りも気になります。

ドラムとかリズムのスタイルってのが凛として時雨とそんなに違わないような気もするんですが、ブラストビートっぽい地鳴りみたいなヤツもたまにかましてくるじゃないですか。ドドドドドドドドドガガガゴアアアアァァァって。もちろんリズムだけじゃなくて、ほかの楽器と渾然一体となって繰り出されるあの辺りの圧倒的圧力、破壊力ってのが、一番ビリビリしたところです。他にもっとあるだろ?って言われそうですが。ハハハ。

メロディで聴かせるって感じの曲があまりないので、メロディが立ってるのが好きな僕としては「Signal」が一番よかったです。楽器が複雑に絡み合った(ように思える)楽曲たちは、そこにある絡まりの妙というか造形美、そこにあるカタルシスを楽しむもののように感じられる。もちろん歌詞によって描かれる世界観もそこに加味されるので、より豊かで複雑な音楽体験にはなると思う。その混沌の中にある刹那の鋭さ、みたいなものが魅力なのかなと思う(たぶん僕は凛として時雨と区別できていない。自分の中で。それが分かる)。

こんな曲も作るんだって驚きもあったし、こんなに映像使うんだっていう発見もあったし(ちゃんとステージ見えなかったのは悔しい。2階席がよかったかもしれない)、これまでよりがぜん興味をもってきました。TKに。そう、前にも書いたけど、TKがすごくやさしい喋り方するのが印象的で、その辺ちょっと五十嵐さんとイメージ被るかもしれない。

「昔からsyrupさんは聴かせてもらっていて」、「初めて聴いたとき」、「こんなに命を削って歌っている人がいるんだなって」、「衝撃的だったことを覚えています」、「昔、凛として時雨で対バンもしてるんですが」、「今回こんなツーマンができるなんて」、「昔の自分に話してあげたいです」って嬉しそうに、感慨深そうに話していて、なんだすげー真摯な人じゃねえか!って一気にTK好きになりました(笑)。

せっかくツーマンだから何かカバーとかあるかなって思ったけれど、さすがに、やっぱり、お互いにそれはなかった…。最後にステージに2バンド揃いでもしてくれたら、まことに貴重な瞬間だったのだが…! 五十嵐さんとTKが肩組んじゃったりして、「みんな写真撮っていいよ。拡散してよ」とかなってさ…と、妄想は膨らむのであった。

ではまた。



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