『桃太郎奇伝』がおもしろかった

最近、『桃太郎奇伝』というフリーゲームで遊んでました。たどりついた経緯は忘れました。

和風・レトロタイプ・コミカル・アドベンチャーRPG。桃太郎の設定は、主人公がモモにのってドンブラコと川を流れてくる辺りにしか残っていません。

旅の目的は打倒信長! おうちからはるばる安土城まで向かう道程がこのゲーム。

特徴的なのはまず、そのシステム。コミックメーカーで作っていることも関係あるんでしょうか、いわゆる普通のRPGのように、フィールドを縦横無尽に歩き回るものじゃなくて、すごろくチックに1マスというか1歩ずつ進んで、ポイントポイントにある目的地を目指すような形なんです。そのポイント~ポイント間がアドベンチャーパートで、敵に遭遇したり、宝箱を見つけたり、罠があったり、サブキャラとの出会いがあったりといったイベントが発生するんですね。


次にキャラクターがみんなして強烈っていう。主人公自体、初っ端で人間じゃなくなってるしね。信長が宇宙人と秘密裏にかわした人体実験の許可によって、人体改造されてしまった赤ん坊が主人公。それを拾ったのがもろ御茶ノ水博士顔(猿田彦顔ともいう)の博士であり、彼が主人公に改造を施すことによって、主人公は人間らしく生きられるようになるのです(初めは目も鼻も口もないし両手もないのだ!)。人造人間。彼は奥歯にとりつけた「加速装置」にスイッチを入れることで身体能力を向上させることができ、それによって敵をブッ飛ばすのが基本的な戦い方(この加速装置の設定は『サイボーグ009』からの引用ですね)。ちなみにこのゲームはナレーションやCVがバリバリに入っていて、戦闘が終わるたびに黒子の演出がかった声がいちいち流れるんです(笑)。加速装置で敵を殴るときも「かそくそーうち!」って主人公が拳をふりながら叫ぶんです(笑)。クリティカルのときの声も何パターンか用意されていて(アニメーションも派手になる)、いちいち面白いんですが、「エイドリアーン!エイドリアーン!!」てドスの利いた声で叫んだり(何気に羽佐間道夫似)、「大人はみんなウソつきだあ!!」とか、「イエス・ドゥー・イット!!」とか、おかしいんです。

途中で加入させることができる主人公の妹的な盾子(たてこ)という、やはり人造人間がいるんですが、まあ名前通り、一定確率で敵の攻撃を防いでくれるんですが(ストレスが徐々に溜まっていく)、あまりストレスを溜めすぎると書置きを残しておうちに帰ってしまうんです! 「家族ってそんなものですか」、みたいな書置き。引っ込み思案な性格で、家の裏の河原の木陰でいじけている彼女を慰める(お金を上げるか、カレーを上げるか)ことで、再び連れて歩くことができるんですね。「お金をあげるから殴らせてくれ」っていうブルジョアもいるし(実際殴らせるとお金をくれます。あと彼には実は裏がある)、キン肉マンフェニックス(ゲーム内では伏字)に戦いを教えたという神(顔だけのアレ)が戦いを挑んできたり。「かぶいてるかい?」が口癖のあいつとか(昔少年ジャンプでアレを読んでた人はすぐにピンとくるよね)。

随所にある引用というかオマージュも特徴なんですが、スレスレです(笑)。インディだからこそできるこの突っ走りぶり。鬼太郎に出てくるモブキャラ(メガネのあいつね)まんまの顔の町民がいたり(彼は宮本武蔵を騙る田舎剣士でボイスも田舎丸出しなのです。笑った)。敵ボスキャラの変身後の姿がまんまゲッターロボだったり。とある町ではコロ助とドラえもんの合体したみたいなのが出てくるし、キテレツもいるし、銀河鉄道999の車掌さんも出てくるし、生まれは葛飾柴又のあの人もTさんと言う名前なんだけど、まんまあの見た目をドット画にしたような形で出てくるし…もう、いろいろ、すげえインパクトですよ。なんだこいつらってのが多すぎる(笑)。


じゃあゲーム自体はどうなのっていったら、これが面白いんですね。ゲームバランスも決して悪くない。レベルも上がりやすいし、お金が必要になるって場面もほとんどない(そもそも金貨は9枚までしか持てないし、そうそう減るもんでもないし、フラフラしてればすぐに入手できる)。後半になるとザコ敵と戦う必要性がほとんどなくなっちゃって(こっちのレベルがあがってくると、経験値が入らなくなるのですね。あと宝箱からもほとんどなにも入手できないので)、逃げるのが得策みたいになっちゃうのがちょっと引っかかったけど、戦闘回数がカウントされてるみたいで、あれは何かに関係あるんですかね? でもボス戦には緊張感があるし(負けるってことはほとんどないと思うけど)、オール手書きの敵キャラクターも味があってよいし、アイテムを使ったり特殊な攻撃の時には視点が切り替わった形でアニメーションになるのもワクワクする(変身後の強攻撃がエクストラでアレになるアニメーションは一回しか見れなかった。しかも信長戦の最後の一撃!)。アイテム収集とか、やりこみ要素もあるし。

あとミニゲームが面白いんです。ミニゲームっていうかストーリー上必然なものもあるんだけど、戦いが格闘ゲームを模したクリックゲームになってたりね(初見では何もできずに死にました)、あと空を飛びながら敵を撃墜するシューティングゲームを模したこれもクリックゲームとかね。凝っていて面白い。


ピストル大名今川義元との格闘戦!


人間大砲でいざ霊峰フジの頂上へ。

もう結構前の作品なので、ネタバレに踏み込みますが、これからやるつもりの人は読まないでね。信長を倒した後は、その裏で地球浄化をもくろんでいたマザーブレインが登場! 彼女を追って宇宙へ飛び出す主人公! ここでマザーブレインを倒して一件落着かと思いきや、なんとマルチエンディングだった! バッドエンドとトゥルーエンドの二つだけど。マザーブレインの爆発に巻き込まれて未来に飛ばされちゃうか、無事に地球に帰り着くかって分岐。宇宙へ飛び出すときに天人という女の子の力を借りるのだけれど、彼女、実はマザーブレインの娘なんですね。で、ここにエンディングを分けるキーワードが隠されていて(まあ別にバッドエンドを見た場合に、トゥルーを見るための答えはもらえるんだけど)、彼女との友好度が高くないと、バッドエンド。友好度をあげる方法は、旅の道中で彼女と遭遇したときに毎度質問をされるんだけど、そこでもっともベターなものを選ぶこと。1回の回答で1あがるんですが、友好度30あれば間違いなくトゥルーエンドにいけます(20でもいけるかもしれないけど試してません)。

もっと言っちゃうと、マザーブレインのあとにも戦いがあります! メタ的な内容に突入して何ともカオスな展開に。って思い出したけど、道中のイベントでシャーマンに占ってもらうってのがあるんだけど、たいがい占ってもらってもたいしたイベントにはならないんだけど、ひとつだけゲームが終わっちゃうって結果になるのがあって(もちろんその前に警告はされます。終わっちゃうよ?いいの?って)。選択を進めると、ホントにゲームが終わります(!)。その終わり方が胡蝶の夢にひっかけたなんともカオスな終わり方で、印象に残っています。

ってところで、ぜんぜん語りきれてないけど、気になる人はやってみればいいんじゃないかな! こういうパワフルなの大好きです! きっと『メタルマックス』とか好きな人は好きなんじゃないかな。


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